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スタッフによるリレーコラム

慶應義塾大学藤沢キャンパスにおける講座

既存中小企業、創業者、急成長ベンチャー(以下中小企業等という)の競争力強化を目的とする税制について

| レジュメ | 詳細版 | 政策論 |

1. 基本認識
  • 日本の産業は、製造業を中心に依然強い競争力を保持しているものの、円高に続くバブルの崩壊及び金融ビッグバンによる構造変化の波にさらされており、対応を間違うと高齢化社会の到来とともに急速に国際競争力を喪失する危険性がある。国際競争力を失えば、失業率の増加とともに付加価値創造力を失い、税収の減少を招く。税収を安定化させるための中小企業等の国際競争力を強化しなければならない。変化に対する対応こそ、中小企業等が中心となってその社会的役割を担わなければならない。
  • 中小企業等が競争力を回復するため、時代及びマーケットの変化に素早く対応せねばならないが、「変化への対応」=「投資の必要性」という、経済計算の恒等式によって、変化対応投資資金を必要としている。
  • 国民経済的には、1200兆円の個人金融資産を有すると算出され、豊富な投資資金が蓄蔵されていることが確認される。
  • ところが、BIS基準の導入とバブルの崩壊によって、日本の金融機関は、今まさに「貸しすぎの歴史的修正」の課程であり、日本の金融機関からの間接金融チャンネルでは企業に資本が流入しない状況にある。(欧米の自己資本比率は5割強、日本のそれは2割強とされる。)逆サイドから見ると、金融機関が貸し出しを減少させながら一方で国民が安全指向によって預金指向を高めると、日本の貯蓄は、金融市場を通じて海外へ低利で流出し、余剰資本はシリコンバレー等アメリカ経済のエンジン部分に変化対応の投資となって投入され、投資が雇用を創出し、同時に競争力を強めて、日本の企業から世界市場における相対的競争力を奪っていると想像される。競争を強めたベンチャーは、証券市場で莫大な市場価値を創出し、国家的規模で資本優位性を確保し、変化を主導している。これは日本にとって最悪のサイクルである。このサイクルは、日本の競争力を減退させるシナリオであり、高齢化とともに、日本は名実ともに歴史的な産業敗戦国(低利の資本の輸出国)となろう。
  • これを断ち切るシナリオは、国民の黒字主体から直接変化対応を具現しようとする中小企業等へ、投資資金の投入が実現される以外に、サイクルを正常化する道はないものと結論される。
  • 中小企業等に投入された投資は、一見資本勘定の移転のように感じられるが、ソフト化が進展した現代においては、中小企業等による資本勘定の増加は、そのまま近未来のヘッドハント費用並びに人件費等の経費に転化する。すなわち変化に向けての投資の実現が、中小企業における経費の増大に直結し、このことは利益の縮小又は赤字増大を意味し、特に税収面から即効性無しとの短絡な結論を将来しかねない。しかし、投資がそのまま経費に転化する、殊に人件費に転化すると言うことは、国民の個人所得増大に直結し、税収増に即繋がることは明白である。同時に雇用の促進、失業率の低下に結びつくのみならず、いわゆる経済学の言う「投資の乗数効果」が具現する。この中小企業等への投資の促進こそが、最も即効性の高い政策と認められる。
  • 注意無しとはしない。会社が会社に投資をするという事態は、いわゆる株の持ち合いに過ぎず、連結的に把握される企業社会の自己資本比率を高めるものではないし、変化に対する投資資金が全体としては増加しない。最も効果的なことは、個人資本家が、中小企業等への投資を急増させることである。注意の第二としては、会社が増資をする為には、個人投資家を納得させる夢のある事業計画を提示しなければならず、会計内容は個人投資家が納得できる範囲で開示される必要があるだろう。第三の注意点としては、政府の介入は最小限とし、統一的な価値観によらず、多様な価値観・戦略を社会的に同居させてこそ、国際競争力を強化できるものである。
  • その方策はある。大幅なエンゼル税制の強化である。その政策目標は明らかである。変化に対応し、変化を主導しようとする積極的中小企業等全体の自己資本比率を早急に4割近くまで引き上げること。その為の政策誘導を協力に押し進め目標を達成する。特に高齢者が巨額の資産を定期・郵貯に大量蓄蔵し、間接的に海外の積極的投資を進めるベンチャー等に資本が向かっていることが想像される。(一部は財政投融資を経て公共投資からゼネコン救済に向かうが、国際競争力強化にはならないのは明らかである。)この保守的な高齢者貯蓄者の資本を、直接国内の中小企業等に向かわせること。
  • 実現されれば、死蔵に近い低金利で国外に流出する日本人の資本が、国内の中小企業等の変化対応又は変化主導を実現するリスクマネーとして流入し、自己資本比率を国際水準まで引き上げるとともに、競争力を強化し、直接的には雇用を創造、給与所得を底上げする。給与所得に化けた投資は、即税収を増やし、長期的には「多産変転型」(*借り入れによる投資ではないので「多死」ではない点要注意)の産業産業構造に変化することで国際競争力を強化し、法人税収の増加と同時に投資家マーケットの活気回復へとつながるであろう。
  • 振り返れば、日本には高い労働力と、巨額な外貨の蓄積がある。変化に対応し変化を主導するための投資資金も人材も豊富なわけである。国民経済計算の常識である(S=I : 貯蓄=投資)を国内において如何に実現するか、要はこの恒等式を如何に健全化・活性化するかである。現段階で必要な対策を講じれば、実現の可能性は大きく、まだ日本に十分なチャンスがあるように思われる。
以上の論旨をまとめるための統計資料
  • 1200兆円は誰が(特に高齢者)どこにどんな資産として(特に郵貯と定期)蓄えられていて、それがどう運用されているのか、国際的なマクロモデルから、資本と運用の地球的バランスと、日本の資本のありかと相対的ポジションを数字で出す。たとえば、そのうちシリコンバレーのベンチャーに向かっている可能性はどの規模か。それが、アメリカにおいてどの程度雇用を創出しているか、実数をシミュレーションしたい。
  • また、毎年増加するSは、Iとなって、どこへ向かっているのか?効率的に使用されているのか?セクター別に金額的にビジュアルに把握したい。
  • そもそも1200兆円あるのか、未決済な不良資産規模は。
  • 高齢者はどのくらい資産を持っていて、どう運用されているのか。国内の健全な規模の投資に向かっているのか。(海外の投資に向かい競争力を下支えし、外国の雇用を創出している結果になっていないか?)
  • 貸し渋りではなく、貸しすぎの歴史的是正が進んでいるデータと、どこまで是正が進むと健全なのか?金額で把握。
  • 企業の自己資本比率を国際的レベルに引き上げるには、どのくらいの金額が増資として投入されないとならないか?金額で把握。
  • あるベンチャーが増資で資本を調達(個人が資産を投資)すると、どのくらい法人で赤字になり、どれくらい雇用に向かい、どれだけ個人所得を増加させ、税収が増えるか、金額でシミュレーション。
  • マクロ的に年間増資で中小企業等が資本調達し、同じように変化に対応又は変化を主導すると、どれだけマクロ的に雇用を創造し、税収を増加させるか、金額で把握。
  • 特に個人が金融資産として保有しているままの場合の資産額あたりの平均税収は、どの程度か。
  • エンゼル税制の税収減のマイナス効果と、プラス効果を数字でシミュレーション。(金額、雇用、社数)
  • ほか

以上の作業をし、数字を算出するためのモデルを作り、データを推計し、説得力ある資料にする。

日本テクノロジーベンチャーパートナーズ(NTVP)投資事業有限責任組合
ベンチャーキャピタリスト 村口和孝
※禁無断転載。全ての著作権は著者に属します。

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