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青少年起業体験プログラム

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東京都大田区 「NTVP青少年少女起業体験キャンプ」(ボランティア)

「株式会社 ミルキーウェイ」班

「起業家体験キャンプ」感想文 仲田忍

ガールの美女軍団は手ごわいよ、と起業家体験キャンプをやる前から言われていた。中でもジュニアではなくシニアを選んだのは、自分もできる限り実体験を通して学びたいと思ったからである。その目的が達成された以上にとても有意義なキャンプだった。

<初顔合わせ>
イメージ10:30、初の顔合わせ、同じテーブルでキャンプ全体の流れについての説明を聞く。平易な文章で書かれてはいるが、内容がかなり高度であることに驚く。理解しているのかな、と思い彼女らの様子を見ると、案の定文章が簡単だから読まなくていいという態度の子半分、真剣に読んでいるけど内容が頭に入らず「変だな」という顔をしている子半分。社長を決めておけ、という話になった時に「じゃあ、あたしか」と当然のように1人の女の子がつぶやいたのが印象的だった。

<社長は私が…>
イメージ11:00、グループごとでやる内容を決める。自己紹介を皆でするが、なんだかぎこちない。皆借りてきた猫のようである。まだ油断できない、という自分の心情が場に伝わり、雰囲気をかたくしているのが感じられた。メンバーは中3の子が4人、中2の子が3人、そして彼女らのリーダーが1人。いきなり、全員の名前を覚えようという意欲を失う。レジュメに従ってニックネームを聞くが、みんな照れるので時間の無駄と思い、やめる。その理由が、皆で名前を呼ぶのに慣れている程仲がいいからであることに気づいたのはもう少し後のことである。

すぐに化けの皮ははがれた。先程「私が社長かあ」と言っていた子が場を仕切り始めたのである
「じゃあ社長は私ね、えりが・・・で、、、」
グループワークを職業的に勉強している人間にとって、その流れを無視することはできない。
「他の人はそれでいいの?社長が決まったとしても、みんなの役割は決まってないじゃん。」
あっさりと答が返ってきた。「うん、いいよ」「うん」
さらにとどめの社長の声、「あたし達、初めから役割が決まっているの」
結局、彼女の言う通り、最後まで「自然な」流れで進むことになる。

<事業計画の策定にも儲けのしたたかさが…>
イメージ事業計画書を1時間で書かなければならない、かなりつらいスケジュールであることを確認させる。と、途端に「何を売るか」の議論が始まった。しっかりしているなと感じたのは、「儲かるか」の観点から考えていること。隣にカブ(小学生)の男の子達が自分達のやりたいことベースの話をしていたが、それと正反対に超現実的である。恐いのは「それは儲からないよ」とアイデアが即打ち消されること。「まあまあ、とりあえずアイデアを出してみて、儲かりそうにないものは後でやめればいいじゃん。」と一言たしなめておく。「七五三の着物を汚すような食べ物はだめ」「茶店の雰囲気がでるセットを使おう」など、女の子らしいアイデアに感心することもしばしば。ただ、やはり「儲け」が考え方のベースにあったことには触れておきたいと思う。

途中で「焼きそば」という案がでて、場が盛り上がってきた。「キャベツは○○円に抑えられる、麺は●●円で抑えられるね」突然社長がPHSで電話を始めた。打ち合わせ中に八百屋の父親と、いくらで手に入るか相談しているのである。

「親の力を借りるのはルール違反だぞ」というツッコミには「値段交渉をしているから、いいよね」とサラリ。正論である。自分が知っている原価の値段で仕入れている段階で、店としての成功は約束されたも同然である。あとは、いかにこのメンバーが優良な事業を営む会社を作ることができるか。その手助けをするのが自分の役目だとその時思った。

<資金調達が必要ない!?>
議論は進んで、焼きそばとジュースを売るだけに決定した。売れ残りを作らないことが大前提にあるので、売れないものは作らない。焼きそばは儲かるので作る。しか客数を予想して限定40食。僕はずっこけそうになった。原価を計算して約3000円、社員は7人。規定の1人2株(1000円)を持つ必要すらない。融資も投資も必要ない。これは困った。

「これじゃあ、俺がいる意味がないじゃん。もっと予算かけて他のものも売ろうぜ」と言うと、
「だって、本門寺にそんなに人は来ないもん。売れないのに予算をかけても仕方ないじゃん。」

確実なところで儲ければ、それで終わり。超現実的な彼女達を動かすには説得の方法が違う。

「全部で7人もいるんだろ。他のチームの倍近く人がいるんだから、1人あたりの利益は小さいよ。」
「食べ物じゃなくて他のアイデアでもいいよ。何か君達らしいもの、女の子らしいものってないの?」
「売れ残っても、利益がでるならいいじゃん。どうせ儲けるなら、徹底的にやろうぜ。」

ここら辺の言葉が効いたらしい。結局アクティブな4年生が引っ張っていく形で、焼きそば、お菓子セット、お茶菓子セット、キャンディーレイを売ることになった。

<他との競争はどうなのか?>
随分盛り上がってきたところで水を差す。「他のグループは何をやるのか知っているの?」

ここでも彼女達は迅速に動いた。2年生軍団が翌日の本門寺にでる予定の的屋情報を聞きに行く。3年生で他のグループと仲のいい子がライバル会社の情報を仕入れに行く。でも彼女らのグループを偵察に来た男の子達には「見ないでよー」と言って隠す。女の子の駆け引き上手は、この年頃に養われるのだろう、と肌で感じた。

最後に悩んだのは値段つけであった。他グループでも焼きそばを売る、しかも原価200円という情報が入り、「250円なら絶対に負けないよね」と意見が一致した。大学の学祭よりも100〜200円安い。もし自分が普通に本門寺に来たとして、客として買うかもしれないと、素直に思った。

<事業計画の発表>
イメージ12:00になった。各班が発表するという予定になっていたが、その後の時間で価格や(ひどい時には)事業内容まで変更できるという。ならば今の時点で中途半端に決められた価格を発表しても仕方がないと思い、模造紙には社名と社員名だけを書いた。ここでも、デザイン系担当の女の子がちゃんといることに感心する。油性ペンで書かれた字は、自分が書くよりもはるかにうまい。発表自体は人前での予想外の社長の照れと、口頭のみでの価格発表にやや苦戦気味だったが、案の定大勢には全く影響がなかった。

<資金調達と登記>
イメージ部屋に戻って価格設定と会社の登記準備をする。自転車などを使うということで交通費も徹底的に切り詰め、必要経費は7200円程。7人×1000円(2株)に融資と投資をどう繰り入れるかというところまで来た。が、肝心の彼女達はいかに経費を安く抑えるかに熱中し、1円単位の計算を繰り返している。登記をする時間と買出しに行くことができる時間が限られているためにばたばたしてしまい、結局投資と融資について何となく説明しただけで後は自分が手続きを行なってしまった。もう少し時間があれば、彼女らにとっても自分にとってももっといい勉強になったのに。ちなみに、自分は最初2株を1000円で買おうと思っていたのだが、村口さんの「本当にそれで大丈夫?」という一言に少し自信をなくし、結局2株を2000円で買うことで決着した。資本金は合計9000円である。

<買い出しと仕入れ価格の狂いのリカバー>
登記後、社員はめいめいに買出しに行った。自分はひとりお留守番だが、仕方ない。彼女達は足を持っているし、どこで何が安いか知り尽くしているのだ。この時ばかりは一緒に買出しに行っている他グループの学生スタッフメンバーを羨ましく思った。順調に進んでいると思った矢先、自分の携帯に電話が入る。いきなりキャンディーレイ用のキャンディーの値段が予想より高かったらしい。本門寺の方に聞いて設定した価格なのに…と愚痴を言っても始まらない。とにかく予定量だけ買って帰ると言い残され、電話は切れた…。

17時頃、全員集合。キャンディーで足はかなり出たが、交通費の更なる切り詰めと予備費のおかげで何とかなっている。翌日配達分を除き、メンバーの子のおばあちゃんに安く割り箸などの消費材を売ってもらうことで、準備は十分となった。

<レイの製作>
夕食後、キャンディーレイを作る。自分は当然初挑戦。当初の計画では傘袋にキャンディーを入れるということだったが、いつの間にかサランラップに変更になっていた。そのせいで皆少し手こずったが、順調に予定の50レイを作り上げた。しかし、これを200円に設定して本当に50個も売れるのだろうか…。

イメージ<販売準備と立ち上がりの遅さ>
2日目、朝からテントの設営のため、彼女らとは接触する機会がない。だが気づいた時には、本門寺の境内に制服で全員が集合していた。社長達が野菜を切りに行った途端、突然場を仕切る者がいなくなった。仕方ないので、手分けして唯一の商品であるキャンディーレイを店頭に並べる。

開店してから小1時間でまだ客の姿はまばら。キャンディーレイが数個売れただけで、「これはまずいかな」と感じるようになってきた。野菜を切っているメンバーが帰ってこないので、売るものがないのである。2つ隣の店で焼きイモがかなり売れており、「まずい」とメンバーが少しずつ焦り始めた頃、やっと野菜チームが帰ってきた。

<焼きそばに注文殺到、追加仕入…>
イメージそれに合わせて、本門寺に訪れる人の人数もどんどん増えてきた。気がつけばお昼時、突然焼きそばの注文が殺到する。最初はフライパンだったのが鉄板になり、今ではそれでも追いつかない。焼きそばはあっという間にばんばん売れて、結局追加そばを買うまでになった。資本金は殆ど残っていなかったので、売上金で買うことになったのだが、これが後で大混乱を招くことになった…。

<レイの苦戦を値下げでリカバーする>
イメージ案の定苦戦したのがキャンディーレイだった。買い足した焼きそばも、お茶菓子セット(大福2個・羊羹1切れ・お茶)も売り切れたのにまだ沢山残っている。最終的には商魂たくましく50円たたいて売ることにより、結局完売となった。余ったお菓子にはさらにお菓子をセットにして売りさばくなど、かなり彼女達は貪欲に行動していたと思う。たった3、4時間だったが、財布は異常なまでに分厚くなっていた。売上を計算するのが楽しみである。

<儲けの計算、決算の作成>
片付け後、戻って儲けの計算である。少し遅れて部屋に入ると、彼女達は電卓をたたいて既に大方の計算を終わらせていたのでびっくりする。売上の計算のところで、途中で売上金を使って買い足したところが資本金との絡みで混乱しており、皆で悩む。最終的には90円の誤差が出たが、公認会計士の方と相談して損益計算を終了させ、会社を解散させるところまで持っていくことができた。

イメージ最終的な売上は以下の通りで、26200円であった。
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焼きそば:250円×53個=13250円
キャンディーレイ:200円×41個=8200円
キャンディーレイ:100円×10個=1000円
甘味セット:250円×9個=2250円
甘味セット:200円×1個=200円
お菓子セット:200円×5個=1000円
お菓子セット:50円×5個=250円
オレンジジュース:50円×1個=50円
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材料費が9373円だったので、利益16917円、という数字になった。

<「大もうけNo.1賞」を受賞>
他班と較べて圧倒的な数字をだしたこともあり、「大もうけNo.1賞」を受賞したが、これもひとえに緻密な原価計算と大胆な販売戦略の賜物だと思う。今回のキャンプが単に「儲けをだした」ものに終わるのではなく、「起業体験をした」という、将来への何かしらのひとつのきっかけになればいいな、と思う。
各班のレポート
「株式会社 おふくろの味」班
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